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アメリカの長期金利は9月8日の5.86パーセントを最低値として現在の2倍の水準、すなわち長期債で17パーセントに近い水準が1994年3月末に実現している可能性がある。
このアメリカの長期金利が下げ止まりの状況にあり、これ以上の低下はないと市場が認識したとき、大きく上昇するであろう。
新聞を見ると、「アメリカの長期金利が史上最低水準に」という記事を目にする。
じつはこれこそ、現在、アメリカ政府がもっとも望んでいるものである。
しかしその背後には、たいへん危ういものがある。
つまり、アメリカの長期金利がどんどん上昇を始め、それに対してアメリカ政府が非難をくり返し、それでも金利上昇が止まらなければ、そのときはアメリカで恐慌が起きかねない。
アメリカ経済の生命線は株式ではなく、債券である。
アメリカの株式市場が暴落しても、債券市場が堅調ならばアメリカ経済は保つはずである。
しかし債券市場が暴落(長期金利が上昇)すると、アメリカ経済は本当に混乱に陥る。
アメリカ政府がもっとも恐れるのは、またその背後にいるユダヤ人がもっとも恐れるのは、長期金利の上昇なのである。
その長期金利が、ついに上昇トレンドに入った。
これはたいへんなことになる。
アメリカの長期金利の上昇は、世界の金融市場を暴落させる力を持っている。
この金利反転の原因は、アメリカにおける「スタグフレーション」の懸念である。
スタグフレーションとは、景気後退と物価上昇が同時に起こるたいへん悪性の経済状態のことである。
景気が悪いのに物価が上がっていく、それは考えるだけでも恐ろしい事態である。
いまの日本の景気は最悪だが、物価が安定しているからいいようなものの、これで物価がどんどん上がりだしたら大騒ぎである。
その理由は簡単である。
企業は生産設備を拡大し、新しい商品を大々的に市場に送り込むよりも、現在の企業をスリム化することに一所懸命なのである。
まず第1に、産業が空洞化しているために、モノの生産拡大を中心にした従来型の経済成長がほぼ不可能になっているという点である。
最近のアメリカの金融当局者の発言を聞いていると、こんなに金利が下がっているのに、どうして企業はカネを借りないのだろうか、というとまどいの様子がうかがえる。
実際に、企業向け融資は、これほどの金利低下にもかかわらずいっこうに伸びてこない。
じつは日本をはじめとした先進各国は、別年前の石油危機のときに、このスタグフレーションに悩まされた経験がある。
あの「トイレットペーパー騒ぎ」のときである。
そういえばそうだと思い出される方も多いだろう。
どうして現在のアメリカにスタグフレーションが発生するのだろう。
アメリカにlTのフォローが吹き、好景気を享受しているというのに、政治の混迷による不良債権処理の自縛から逃れられない金融機関はほとんど死に体。
日本は「失われた10年」の真っ直中にあったのである。
1994年には、日経平均株価は1万3000円(なんと、いまとほとんど同じである)。
RB議長となった G は、巨額の財政赤字を解消し、2000年には2300億ドルの財政黒字を達成。
他国通貨に対しドル高を維持することで海外マネーを呼び込むことに成功している。
したがってアメリカの株価を見ていても、大手製造業中心のNYダウ平均はたいへん強いが、中堅企業を含むS&P500種平均は弱い。
またそれを裏付けるように、製造業の雇用者はホワイトカラーを含めて依然として減少を続けている。
第2の原因は、製造業が空洞化しているにもかかわらず、国民の消費意欲が衰えていないという点である。
この低金利で個人向けの融資残高はどんどん増え、また新規住宅着工も回復の兆しを見せている。
これは要するにアメリカ国民は、いまだに大量消費文化から抜け出せていないということである。
生産が空洞化しているところに購買意欲だけが盛り上がればどうなるか。
輸入の増加である。
第3の原因は、ドル安による輸入価格上昇である。
おそらくこれが今回、アメリカ国民を震憾させるもっとも大きな要因だろう。
現在、円ドル為替はやや円安にある。
ここで日本株が下がりだすと外人の利食い売りから、一気に円高に振れる可能性がある。
1ドル100円割れとなれば、アメリカでは輸入物価の上昇と、それに伴う国内物価上昇が避けがたくなる。
しかもそれは、一般のアメリカ人が知らないところで急速に進展するのである。
第4の原因が、アメリカ企業会計の危うさである。
日本でも数年のうちに導入が予定されている国際的会計基準のひとつの特徴は、評価に時価を大幅に導入するという点である。
とくにアメリカの銀行は、1980年代後半から大幅に時価会計に移行している。
時価会計は相場が上がっているうちはいい。
毎期大きな利益を計上でき、高配当を続けられ、株価も上がるからである。
しかし相場が下がりだすと、なにもかもが逆回転を始める。
物価上昇懸念から金利が上がると債券価格は下がり、あっという問に銀行の決算は悪くなる。
本当にあっという問だろう。
金利の上昇は株価下落をもたらし、銀行に限らず一般企業や個人の財務状態も一気に悪化する。
そして第5の原因が、連邦政府の財政大赤字である。
もはや政府が国民を救えないばかりか、大赤字の政府が国民を窮地に陥れることがだれの目にも明らかとなったとき、連邦政府に対する信認は一挙に瓦解するだろう。
連邦政府に対する信認の喪失は、貧困層を中心にした国内の動乱状態と海外への資金逃避を招き、空前の大インフレを発生させる。
こうしてアメリカには未曾有のスタグフレーションがやって来る。
スタグフレーションとは、スタグネーション(停滞不況)+インフレ(物価の持続的な上昇をミックスした経済用語である。
当時、アメリカではほとんどスタグフレーションは発生しなかった。
理由は、「借金してでも欲しい物は購入する!」というアメリカ人の消費好きな国民性が想像以上のものであったためだ。
それを叶えたのは、lT革命と投資信託への投資による好景気である。
B 政権になるや、一転、NYダウは暴落するけれども、不動産モーゲージローン(信用力の低い人には「サブプライムローン」)などによる住宅投資やREIT(不動産投資信託)のおかげで十二分に不動産バブルを満喫したと思う。
だが、サブプライムショックにより、さすがの買い物好きのアメリカ人でも消費力が落ちてきている。
アメリカで恐慌が起こる場合、それはおそらく、いくつかの銀行に対する大規模な取り付け騒ぎから始まるはずだ。
アメリカの銀行は1980年代の拡張が大量の不良資産を生み、1989年には、零細でもっとも問題の多かった貯蓄金融機関を財政資金を使って救済する法律(S&L救済法)が制定された。
ちょうどそのころから、アメリカの長短金利がトレンドとして低下を始める。
銀行は基本的な構造として、預金を集めて貸し出しを行い、その金利差を利益としている。
預金は一般に短期のものが多く、貸し出しは長期のものが多結局、アメリカ金融が行き着いたのはギャンブル金融であった。
もし長期金利が急上昇すると、たいへんな混乱に陥る。
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